今日は世界トイレの日!商標から「トイレ」を見たとき新規参入の影が見えてきた

世界のトイレ事情


2020年東京五輪の観光客増加に備え、日本では急ピッチでトイレの改修工事が進められています。多様化するニーズに合わせたきめ細かな機能を持つ、日本の新型トイレは外国人観光客を驚かせており、より快適で、より気持ちのよい、トイレの進化が進んでいます。
中国では国家主席の号令の下、2015年より「トイレ革命」が始まり、大規模なトイレ改造計画が進行中。インドでも空前のトイレ建設ラッシュが起きており、1日5万台のペースでトイレが新設されています。

一方、世界ではいまだ3人に1人がトイレを使えず、8億9,200万人が屋外で排泄を行っているという現実があります。屋外で排泄することによって、排泄物に含まれる病原菌が人体に入り、免疫力の弱い子どもたちが1日に800人以上命を落としているというデータもあります。このようなトイレにまつわる問題を、世界中で考え改善していくために、国連は毎年11月19日を「世界トイレの日」と定めました。

世界の衛生環境を改善させる希望の存在である「トイレ」に注目し、ご紹介いたします。

 

出願商標から見える世界の「トイレ」事業


世界最大の商標データベース「GlobalBrandDatabase(以下略GBD)」で、”toilets(トイレ)”を含んでいる出願商標は21,485件。その内、2018年に出願されている1,778件の内、出願数の多い上位権利者はこちら。

順位 権利者名(国名) 事業内容(URL) 出願件数
1 OUTFIT7(キプロス) テレビゲームのデベロッパー(https://outfit7.com/ 28
2 KOHLER(アメリカ) バスルームやトイレなど水まわりの製造会社(https://www.us.kohler.com/us/ 22
3 Sloan Valve(アメリカ) トイレなど水まわりの製造会社(https://www.sloan.com/ 16
3 Ideal Standard(ベルギー) バスルーム、衛生陶器、配管器具会社(https://www.idealstandard.com/ 16
4 LOTTE Corporation(韓国) 事業分野は非常に多岐にわたる韓国内で5番目に大きな財閥(https://www.lotte.co.kr/ 14
5 Fletcher Building(オークランド) 建築資材メーカー(https://fletcherbuilding.com/ 12
5 Thrislington Cubicles(イギリス) トイレなど水まわりの製造会社(https://www.thrislingtoncubicles.com/ 12

1位にランクインしたのはゲーム開発企業であるOUTFIT7。出願内容からは、”My Talking Tom”というゲームアプリに登場する動物たちの出願が確認でき、出願内容は”トイレブラシやトイレットロールホルダー”といった内容。同社がトイレ事業に新規参入という形ではなく、ゲーム内で登場するトイレシーンに合わせ、トイレに関連した用具の販売を予定しているものであると考えられます。

(画像出典:左 https://itunes.apple.com/us/app/my-talking-tom/id657500465?mt=8、右 GDB検索結果)

その他、気になる出願についてご紹介していきます。

 

韓国大手企業が新規参入か


4位にランクインしたのは、韓国の大企業「LOTTE Corporation(以下ロッテ社)」。同社が”toilets”を含む出願をしているのは2018年に入ってからです。下記内容で、トイレなどが対象となる第11類を指定した出願を行っており、トイレ事業参入の可能性が感じられます。

指定商品/役務(英語) 指定商品/役務(日本語直訳)
non-electric water purifiers for household purposes,aquarium filtration apparatus,toilet bowls;water supply installations; toilets, 家庭用非電気浄水器、水槽ろ過装置、便器、給水設備、 トイレ

また、GDB検索結果は14件全てロゴ(画像:下記左)でした。

一方、韓国のデータベースKIPRISで、同社が出願している11類の出願件数は11件あり、その内、2018年に出願された商標は1件、「charlotte 샬롯」という商標でした(画像:下記右)。”ロッテ”という会社名は、同社の創設者が愛した小説のヒロインの名前である「シャルロッテ(charlotte)」の”lotte”から取って名付けたネーミングであり、誰からも愛されるシャルロッテのような会社になるように、という思いが込められています。ロッテのミュージカル専用劇場「シャルロッテシアター」や、映画館「シャルロッテ館」などにもネーミングが使用されており、同社の中で重要な商標のひとつとして位置づけされています。

この、2018年に出願された「charlotte 샬롯」の指定商品にも”トイレ”が記されていました。

(画像出典:左 GBD検索結果、右:KIPRIS検索結果)

同社の中で重要と位置付けられる商標2つが、2018年に入って”トイレ”を指定した出願を行っている点に注目です。果たして、トイレ事業への新規参入はあるのでしょうか。

 

トータルでの住空間の提供


2004年より、良品計画社は「無印良品の家」を開始し、無印良品が扱う7,000品目以上の生活用品を基盤としながら、トータルで住空間の提案をする事業を開始しました(画像:下記左)。また、2018年10月30日、パナソニック社が建てる家に、同社の住宅設備、家電やトイレなどを使用し、トータルで住空間を提供する暮らしの統合プラットフォーム「HomeX」プロジェクトの提供が開始されました(画像:下記右)。

 

(画像出典:左 https://www.muji.net/ie/kinoie/ 、 右 https://news.panasonic.com/jp/press/data/2018/10/jn181030-1/jn181030-1.html)

 

日本国内だけでなく、韓国でも同様の展開が確認できます。総合家電大手のLG社も床材、窓や壁材などの自社製品を使用し、トータルで住空間を提供しています。(画像:下記左)また、ロッテ社には、ロッテ建設デザイン研究所という部署が存在し、こちらも同様に同社の床材、窓や壁材などを使用したトータルでの住空間を提供しています。(画像:下記右)

このように、自社製品を活用したトータルでの住空間の提供は国内外で進化を遂げているのです。

(画像出典:左[LG社]http://www.lghausys.co.kr/hausys/index.jsp、 右[ロッテ社]http://www.etoday.co.kr/news/section/newsview.php?idxno=1494952)

 

韓国トイレ市場を揺るがす新規参入の影


ロッテ社は、ホテル経営のみではなく、ロッテキャッスルなどの賃貸住宅アパートを展開しているため、自社でトイレの製造が可能となれば、より自社のビジョンに会ったトータルでの空間の提供が可能となります。また、現在、韓国のトイレメーカー市場はDAELIM社一強といった形。大手企業が今まで培った製造ノウハウを活かし、トイレ事業に参入した場合、韓国トイレ市場の形成に変化が起きることが考えられ、市場を揺るがす参入になるのではないかと考えます。

 

現時点で韓国のロッテ社がトイレ事業参入、といった情報を確認することはできませんでしたが、同社の出願商標の内容や、建設事業がトータルでの住空間提供を進める市場の流れを踏まえると、同社の参入は実現可能性が高いのではないかと考えます。引き続き動向に注目していきます。

 

 

〈ライタープロフィール〉
中山 礼美(なかやま れいみ)

GMOブライツコンサルティング株式会社
IPソリューション部/メディア担当
consul@brights.jp

2011年に入社後営業サポート業務に携わり、2017年5月よりメディア担当者として、商標やドメインネームの業務を学びながら記事を発信。様々な業界のトレンドを意識した記事作りの難しさに奮闘中。趣味は食べるコト、プチプラでお得感の高いものを探すこと。

 

 

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