企業のための、これからの模倣品対策マニュアル<完全版> -1-

企業が成長していくとどうしても避けることができない模倣品。どう対策をしていったらいいのでしょうか?当たり前のことから一度確認し、その必要性を今一度見直してみましょう!

模倣品の現在


そもそも模倣品はどれくらい出ているのでしょうか?

2016年のOECDの発表によると、世界の模倣品・海外版の流通総額(2013年)は、約50兆円に達し、世界貿易額の約2.5%に相当すると言われています。内閣府のアンケート(2017年)によると、日本の約4,000社にヒアリングをしたところ、模倣被害総額は、1,028億円、模倣品被害率21.9%でした。日本の模倣品被害については、横ばい傾向にありますが、国際商業会議所(ICC)によると、模倣品・海賊版の規模は世界的に拡大傾向にあるとのことです。

模倣品はなくならない


模倣品の販売が増加することで売り上げを奪われてしまうため、対応は必須ではありますが、残念ながらこうした行為はなくなることはありません。きりがない、成果がみえないと言われることが多いため、ゴールを明確にして取り組むことが肝要です。

様々なゴールがありますが、弊社では、自社が他社よりも模倣対策を少し頑張ってみることをお勧めしています。これをいうと、他社に迷惑をかけてしまいバツが悪いじゃないかと思われますが、まず自社ブランドが被害に合わないようにすることが先です。

模倣品業者の目的は利益を上げることです。ブランドに対する監視が厳しくなれば、監視の緩いブランドへ移動するのがよくあるケースです。貴社が模倣品対策を始めたことで模倣品被害が他社に移って、他社も模倣品対策をするようになってきて、と周り回っていけば、最終的には模倣品業者からその業界自体が販売しにくいと認知がされていきます。

オンライン/オフライン


模倣品対策を実際に行う場合、その領域は大きく2つに分けることが出来ます。オンライン(ウェブ)なのか、オフライン(リアルな店舗などでの取引)なのかです。

オンライン(ウェブ)であれば、ヤフオクなど場の提供をする主催者のいるECサイト、個別で企業等が立ち上げるECサイトが模倣品販売の活動領域です。そのほか最近では、SNS(facebookページなど)、携帯アプリでの販売も活発になってきました。

オンラインの対策は、マーケットプレイスに対してクレームを上げ、模倣品の出品削除をしてもらうことが中心です。権利の根拠がなければならず、商標権をはじめとする知的財産権が必要です。また、業種によっては、法律違反を問うていくことで出品を削除していくことも可能です。ただ、出品削除をするときの権利の根拠の王様は、商標権です。したがって、模倣品対策をするにあたって、商標権を当該国で持っているかを確認しましょう。

オフラインは、リアルな店舗、工場などによる販売・製造です。対策としては、摘発が有名です。いきなり摘発をすることはできませんので、模倣品を購入して足取りを追う調査などをして、摘発すべき場所を特定していく必要があります。多額の費用がかかりますので、どのような場合には摘発をするのか基準を策定しておくべきです。

また、オフラインの対策としては、その他に税関登録などもあります。登録をしておくことによって、輸出入の自由を制限することができ、中国などを中心に多くのブランド権者が登録をしています。実効性を上げるためには、税関職員に模倣品の見分け方などの教育をしたり、ブラック・ホワイトリストの更新していくなどをしていきます。

あたりまえのことですが、目的が現場の摘発であれば、オンライン上のリンク削除は控えるべきです。オンライン上で出品が削除されていけば、狙われてる、と模倣品業者に感づかれるからです。

何から始める?


オンライン/オフラインの模倣品対策をどのようにするべきか?そもそも模倣品対策をすべきか?について検討するために、以下ように簡単にできることから備えをしておくべきです。

1.ECサイトでヒットカウント調査

言ってしまえば、エゴサーチのようなものです。自社の製品や社名で検索をしたときにどんだけヒットするのか?ということです。国内、海外の凡そのプレイヤーは後ほどご紹介します。

2.現場営業マンへヒアリング

現場の営業マンの本業は製品・サービスを販売することです。つまり、クライアントと直接対峙する方ですので、最近模倣品が出てるなどの情報がないかは定期的にヒアリングをし、情報収集ができるパイプ作りが重要です。本社で模倣品対策の取り組みをしていることを周知するだけでも情報は意外に入ってくるものです。

単純なことですが、すべてはこの2つの作業からはじまります。

どのECサイトから始める?


1の調査は非常に簡単です。各国の主要サイトを少し検索していってみましょう。
どこの国を見ていけばいいのかな?とわからない場合はまず中国から見ていきましょう。

特許庁の2015年度模倣被害調査報告書(※2)にもある通り、やはり模倣品に関連する話題の中心は中国です。中国から製品が流通している構図です。

画像出典:https://www.jpo.go.jp/torikumi/mohouhin/mohouhin2/jittai/pdf/2015_houkoku/2015shousai.pdf

世界の主要サイトと特徴は下記の通りです。

サイト名 URL 特徴
アリババ 中国 https://www.1688.com/ アリババグループが運営するB2B向けのECサイトです。過去の販売実績も見ることができ、模倣品らしきものが実際に売れているのかを見ることもできます。
タオバオ 中国 https://www.taobao.com/ 同じくアリババグループの運営するB2C/C2Cサイトです。過去の販売実績もみることができます。下記に紹介するTMALLも検索結果に入ります。
TMALL 中国 https://www.tmall.com/ 同じくアリババグループの運営するB2Cサイトです。出店に費用を要するため、模倣品業者の参入障壁があります。過去の販売実績もみることができます。
JDmall 中国 https://www.jd.com/ 中国で二番目に大きいECサイト(B2C)です。最近ではアリババ同様、中国以外の国においても事業展開を積極的にしています。
アリババ 国際 https://www.alibaba.com/ アリババグループが運営するB2B向けのECサイトです。こちらは過去の販売実績を見ることはできません。
ebay 北米、欧米 https://www.ebay.com/ B2B/B2C向けの老舗ECサイトです。Vero Programといった模倣品排除のメカニズムがあり、ブランドオーナーの申し立てに対してスムーズに対処してくれます。
amazon 北米、欧米 https://www.amazon.com/ いわずと知れた老舗ECサイトです。近年、ブランド権者の保護プログラムも実施しています。
メルカドリブレ 南米 http://www.mercadolibre.com/ B2B/B2C向けの南米一体をカバーする最大のECサイトです。近年削除プログラムも改善され、模倣品対策にも積極的になっています。販売実績を見ることが可能です。
 次回は具体的なECサイトをの見方をご紹介します! 

〈ライタープロフィール〉
寺地 裕樹(てらち ゆうき)

GMOブライツコンサルティング株式会社
営業本部 IPソリューション部
consul@brights.jp

2008年に入社後営業部の主力メンバーとして、営業数字を牽引。2012年には、当時最年少で営業部部長に就く。現在は、商標・ドメインネームに関するコンサルティングを主に行うIPS部、営業部、営業管理部を率いる営業本部副本部長として従事。趣味は、家族と週末農家、インラインスケートなど。