メルカリトレンドワード1位の「ピザポテト」からパッケージ商標登録の利点を考える

株式会社メルカリは、フリマアプリ「メルカリ」において集計した「メルカリトレンドワード2017」を発表しました。

画像出典:https://about.mercari.com/press/news/article/20171208_trendwords/

1位にランクインした「ピザポテト」は、北海道産ジャガイモの収穫量減少の影響を受けて4月に一時販売休止を発表。その直後、メルカリでの検索が増加しました(6月には販売再開)。同じく7位にランクインした「カール」も、8月生産分をもって東日本での販売が終了。馴染みのあるスナック菓子が買えなくなるかもしれない、という不安から「メルカリ」内での検索が急上昇したといいます。

「ピザポテト」の休売を発表直後からメルカリでは、1袋1,500円や15,000円といった超高値で出品するユーザーも現れたといいます。1992年からカルビー株式会社が製造・販売しているスナック菓子「ピザポテト」から、「パッケージ商標登録の利点」についてご紹介させていただきます。

パッケージ商標の登録状況

国内商標データベースで、”ピザポテト”を含む出願商標は4件。

画像出典:J-platpat(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/all/top/BTmTopPage)

その内の1件にパッケージ商標の登録が確認できます。

画像出典:J-platpat(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/all/top/BTmTopPage)

2017年7月3日に出願をしていることを見ると、同年4月に一時販売休止を発表したことによるメルカリ等での動向を受けた出願であることが伺えるのではないでしょうか。

続いて、国内外での様々なパッケージ商標をご紹介いたします。

 

様々な業態のパッケージ商標(日本)

日本の商標データベースであるJ-PlatPatでパッケージ商標を探してみたので、一部ご紹介いたします。

画像出典:J-platpat(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/all/top/BTmTopPage)

赤城乳業株式会社の出願商標である「§AKAGI\ガリガリ君\リッチ Richi∞カフェオレ\&ゼリー(第5587079号)」、宝ホールディングス株式会社の出願商標である「§寶(マル)∞果汁で\漬け込んだ∞梅酒(第5331063号)」、株式会社サクラクレパスの出願商標である「第1387932号」、等、お菓子やお酒、文房具等様々な業態のパッケージ商標を確認することができます。

 

様々なパッケージ商標(海外)

世界最大の商標データベース「GlobalBrandDatabase(以下略GBD)」で、指定商品名に”crips(ポテトチップス)”を含む商標出願は、15,163件。その中で複数のパッケージ商標の確認ができます。

画像出典:Global Brand Database(http://www.wipo.int/reference/en/branddb/)

日本国内だけでなく、海外においても同様のパパッケージ商標が確認できることがわかります。そでれは、パッケージ商標を登録する利点とはどのようなものなのでしょうか。具体的にご紹介をさせていただきます。

 

パッケージ商標登録の利点とは
1.商品名が非類似の場合に有効

パッケージデザインは類似しているが商品名が非類似のケースでは、商品名についての商標権に基づき、販売の差し止めをすることはできません。このような場合、パッケージに特徴があれば、パッケージデザインを商標登録しておくことにより、より容易な権利行使が可能となります。

 

2.周知性・著名性の提示が難しい中小企業に有効

パッケージデザインに関する争いは、不正競争防止法の第1号は周知性、第2号は著名性を根拠とされることが多いです。この2つの規定には、幾つかの要件が定められています。

第1号の周知性は、自分の商品パッケージデザインがある程度有名になっている必要があるということです。第2号の著名性は、さらにハードルが高く、自分の商品パッケージデザインが全国的に有名でなければなりません。
つまり、パッケージデザインの紛争で不正競争防止法を根拠とするのであれば、自分の商品パッケージデザインが少なくとも一定程度有名であることが要件となるのです。


周知性・著名性の立証は、そのパッケージデザインで広告宣伝をどれ位行ったのかや、マスコミにどれ位取り上げられたのか等、証拠やアンケート調査の結果等を提出することにより行うのが一般的です。
広告宣伝費にそれ程コストをかけられない、マスコミに取り上げられにくい中小企業等の場合、周知性・著名性の要件をクリアするのは難しいケースも多いと考えられます。 商品パッケージデザインの商標登録を行うことで、類似のパッケージデザインを排除することが可能になるのです。 

 

新しい商標によるパッケージ商標登録

平成27年4月1日より、新しい商標登録が可能になりました(特許庁より)。新商標には、「音」「色彩」「位置」「動き」「ホログラム」がありますが、パッケージ商標登録に関係してくるのは、主に「色彩商標」と「位置商標」です。

1.色彩商標

こちらは「色彩商標」として登録に至っている国内商標です。左から順に、株式会社トンボ鉛筆(第5930334号)、株式会社セブン-イレブン・ジャパン(第5933289号)です。

画像出典:J-platpat(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/all/top/BTmTopPage)

パッケージの色彩は共通しているが表面に付されているロゴや文字が違っているため権利行使ができなかったような場合でも、人を惹きつける色彩が共通していればロゴや文字が違っても権利行使できる可能性があるため、パッケージ商標登録には強力なツールと言えそうです。

色彩商標出願の注意点

色彩商標を登録するにあたっては、その色彩を見ただけで、どの会社の色彩か多くの日本国民が認識できる必要があります。具体的には、今までの使用実績を主張立証することによって、出願された色彩が、その商品サービス分野で、日本全国の需要者に、どの会社の色彩かを認識されていることを、特許庁に認めてもらう必要があるのです。

 

2.位置商標

こちらは「位置商標」として登録に至っている国内商標です。

左から順に、亀田製菓株式会社(第5873740号)、モンクレール ソチエタ ペル アツィオニ(第5995042号)、キユーピー株式会社(第5960200号)。

画像出典:J-platpat(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/all/top/BTmTopPage)

位置商標とは、図形等が商品等に付される位置が特定される商標で、パッケージ商標保護には有効です。

特徴が無さそうな形状や模様を製品の特定の位置に付けることで識別力が高まり、特定の企業の認識が可能になるのが位置商標です。位置商標を登録することで半永久的な権利化が可能な反面、商品開発する上で全体形状のみならず、商品の形状の細かな部分にまで位置商標として権利化できるか、あるいは類似商標として他社の権利を侵害していないか等、気を配る必要もあるということです。

 

商品パッケージは短い時間で消費者の目に留まり、特徴を理解され、そして手に取ってもらえるという、消費者にとってとても身近なメディアになります。

株式会社東ハト社の人気商品のひとつであるキャラメルコーンは、2003年にパッケージを大幅にリニューアルしました。パッケージリニューアルに伴い、前年比3割増の売り上げを達成した程、パッケージリニューアルの成功例と言っても過言ではありません。パッケージを変更することで売上が左右されるほど、パッケージの持つ力は偉大でることがわかります。画像出典:J-platpat(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/all/top/BTmTopPage)

左から1988年出願(第2464432号)と、2003年出願(第4791738号)です。東ハト社がパッケージの変更に応じた商標登録を行っていることがわかります。パッケージ商標の重要性や変更毎に登録の検討をする必要があることを感じます。また、特に新しい商標の登場は、これらの商標の特徴を理解し、有効的に活用することで今後の企業におけるブランディングの仕方まで変えてしまうのではないかと感じました。

関連記事: