カンボジア、オンライン出願に伴う出願件数の増加と模倣品被害の実態とは

2017年5月25日よりオンライン商標登録システムが導入・開始されたカンボジア。政府の商業省は、2018年上半期における商標出願件数が昨年同期比16%増加したと発表しました。カンボジアは、ASEAN諸国の中ではシンガポール、マレーシア、フィリピン、インドネシアに続き、5番目のオンライン商標登録制度を採用する国となります。

カンボジアの商標制度


多区分出願の可否
データベース WIPO(Global Brand Database)http://www.wipo.int/branddb/en/
出願から登録までの期間 6-9ヶ月
異議申立期間 公告日から90日間
存続期間 出願日から10年間
使用宣誓制度 必須

出願件数の遷移


カンボジアは2015年にマドリッド制度に加盟して以来、商標登録が増加しています。

また、オンライン登録を開始したことにより2018年度後半の出願件数の伸びが期待でき、過去最大の出願件数に達するかもしれません。

 

深刻な模倣品被害


2017年、68トン相当の偽化粧品を押収したと報じられました。日本産や韓国産など生産国表記を偽った商品で、同国における偽化粧品としては最大の押収量であり、中には資生堂社が展開する高級スキンケアブランド「Shiseido」の商品と偽ったものも存在したと言います。また、2018年8月6日には、数百トンの模倣品を押収し、10人以上を逮捕したことが明らかになるなど、カンボジアにおける模倣品被害が後を絶ちません。

商標の模倣行為は、カンボジアにおいて重大となる知的財産権侵害となっています。また、日本貿易振興機構(JETRO)の報告によると、多くの製品において模倣品流通の実情が露わとなっています。

製品種別 被害事例 流通実態
電気・電子製品 カンボジアの若い年齢層に人気がある、携帯電話及びそのアクセサリー。充電器、ケース、ヘッドフォン、モバイルバッテリー、スピーカーなど、これら製品の模倣品の品質は低水準であり、火災を引き起こし、ユーザーに火傷を負わす可能性があることは深刻です。 中国で製造され、香港を介して海から直接運ばれる。又は迂回し陸路でラオス及びベトナムを通過して輸送される。
化粧品及び医薬品 最も危険性が高い模倣品の代表例。これらの商品は直接身体に用いられ、その商品が危険で不衛生な成分を含有している場合や、有害である場合があります。 化粧品の模倣品は、中国、ベトナム、インドネシアで製造される。医薬品の模倣品の多くは、中国とインドで製造される。また、化粧品医薬品共に、最近の摘発で、製造場所がカンボジアにシフトしている可能性があることが判明。
オートバイ、自動車、及びそれらの部品 非公式なルートを介してカンボジアに輸入され、輸入元を追跡することは困難である。また、これらの製品は後に交換部品が必要となるが、その部品においても模倣品製品が支持を得てしまっている。 自動車部品の模倣品の多くは、中国、タイで製造される。
食料品 消費者の健康にリスクをもたらすため、消費者間では人気がないが、模倣品であることを気づかずに購入してしまっているケースがある。多くの食料品及びアルコール商品は、タイ及びベトナムから密輸されており、消費者を危険に晒している。 食料品に関する模倣品はベトナム産である。
衣料品及びアクセサリー類 ブランド品衣料の模倣品は、カンボジア人の間で、非常に人気がある。また、安価で購入できるため、カンボジア土産として購入する旅行者も多い。多くの旅行者は、自国に戻った後、品質の低さに失望させられる。 衣料品及びアクセサリー類をベトナムから輸入し、衣料品の模倣品をタイに輸出している。

出典:http://www.meti.go.jp/policy/ipr/reports/pdf/c_canbogia_set.pdf

模倣品が広く行き渡っている主な理由は、”模倣品が魅力的で、安価で、有害ではない”という国民意識によるものが大きいと考えられています。カンボジアの多くの市場は、衣料品、靴、映画及び電子機器の真正品と模倣品の両方を販売する露店が数百から数千軒を連ねています。店舗間の競争により、販売業者は激しい価格競争に晒され、多くの安価な模倣品が真正品よりも著しく安価で販売され、この価格格差が、真正品の購入を正当化することをさらに困難なものにしているのです。

ブランド権者が行うべき対策とは


1.権利取得
自分の権利を登録することを怠ると、権利者が侵害に対抗することが非常に困難になるため、基本的な権利行使戦略として、商標出願がマストとなります。
2.現状把握
模倣品の発見が遅すぎ、模倣品が広く行き渡ってしまう前に、侵害の問題が小さいうちに問題を見つけて対処できるよう監視し続けることが重要です。

 

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〈ライタープロフィール〉
中山 礼美(なかやま れいみ)

GMOブライツコンサルティング株式会社
IPソリューション部/メディア担当
consul@brights.jp

2011年に入社後営業サポート業務に携わり、2017年5月よりメディア担当者として、商標やドメインネームの業務を学びながら記事を発信。様々な業界のトレンドを意識した記事作りの難しさに奮闘中。趣味は食べるコト、プチプラでお得感の高いものを探すこと。