素材もお値段も高級!進化する食パン業界と商標の関係

  

もう題名でお分かりの方も多いとは思いますが、このランキング、パン消費金額が多い都市ランキング(年間)です!

出典: https://www.stat.go.jp/data/kakei/5.html

  

この中でもさらに食パンだけに絞ると…

全国平均は9,125円、1位から5位まで順番に、神戸市 12,563円、松江市 11,624円、奈良市 11,495円、和歌山市 11,233円、
大阪府 11,184円。

神戸市が不動の1位で、ランキングも5位まで全て関西地方の都市で占められています。

「粉もん」文化のある関西地方で、やはり小麦粉を使用しているパン消費金額が多いという結果になったということは頷けますね。

  

  

関西の老舗を商標の観点から調査してみると?


  

このような関西からの流れを受けて、いま高級食パン業界がアツい状況となっています。まず元々高級食パンの発祥とも言われている
関西の老舗といえば、【乃が美】です。

J-platpatで検索してみると以下の結果になりました。

  

引用:Jplatpat

     

4年以上前から商標出願し登録されています。公式のHPをみても、商標に対する対策が取られていることがわかります。

  

出典:http://nogaminopan.com/about/

  

この中でも気になったのは、【高級「生」食パン】です。

商標の基本として、当たり前なネーミングをその製品につけてはいけないというものがあります。例えばお菓子に「高級菓子」とネーミングする。これはお菓子を売る企業であればだれでもつけたくなるネーミングであり、商標として許されないということです。

そこから考えるとこのネーミングも識別性がないとして認められない?とも思いましたが、「生」を食パンにつけるのはとても斬新ですし、日常生活に溶け込んでいる食パンと高級という言葉との組み合わせもなかなか新鮮に感じます。ここがポイントで識別性が認められたのではないかと想像します。

また、【乃が美はなれ】も気になって調べてみたところ、新たなビジネス形態のお店をオープンしていました。フランチャイズ制とはまた別に、限られた数の認められた店主のみが掲げることができる店名とのことです。

ブランドを守ろうという姿勢を大事にするビジネス展開において、商標はこんなに大事になってくるのですね!

  

  

関東も負けていない!


  

関東発祥の高級食パンでよく名前を聞くものといえば、【銀座 に志かわ】があるのではないでしょうか?

ここでもJ-platpatで調査を行うと、2018年に12件の出願があります。現段階では全て審査中となっています。

その中でも、【水にこだわる高級食パン】という商標があります。これも前述のように、高級食パンという部分について、識別性がどうとらえるか注目ですね。

またどうしても気になるのが、

【ゆく年くる年食パン】、【朔日食パン】、【みそか食パン】、【食パン福袋】、【鏡食パン】

なんとも面白い商標を出願していますね!年末年始の特別なごちそうとして食パンを食べる習慣を作っていこうという流れなのかと想像します。

  

  

新しい業界には新しいネーミングの宝庫!


  

このようにこうした新しい業界には、やはりたくさん面白いネーミングが集まります。

私がもしこの業界に新規参入するとしたら、どんなネーミングにするか…ちょっと考えてみました。

やっぱりパン屋さんはかわいらしいイメージがあります。なので【森のパン屋さん】なんてどうかな…nomyneというサービスを利用して簡単に無料調査をしてみました。

  

出典:https://www.nomyne.com/

  

部分一致している社名はあるものの、先ほどの識別性や、一般的な単語との関連性はクリアです!

  

引用:https://www.nomyne.com/

  

しかし、、、

  


引用:https://www.nomyne.com/

  

完全一致のブランドが存在していました。

  

でも!

  

28類おもちゃで株式会社エポック社による登録です。よって結果としては、パンは30類に位置しますので、出願すれば登録できるかもしれません。

こんなに【森の】シリーズが多く登録されているとは思いませんでした。こうやって思いついた会社を検索してみるのも楽しいですね。

さて、他にも高級食パン業界で新しいネーミングを探そうとちょっと検索してみると、面白いものがたくさん出てきました。

  

  

高級パンに何が起きてるの?オモシロ店続々


  

2018年12月には【うん間違いないっ!】が中野坂上にオープン。

  

出典:https://www.un-machigainai.com/

  

2019年4月6日に【どんだけ自己中】が荻窪にオープン。

  

出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000024012.html

  

これが商品袋になるとのこと!この袋をもってお客さんが歩いてくれるだけで宣伝になりそうですね。

こんなお店ができていたら、面白い、なんだろう、ちょっと寄ってみようと思いますよね!

これらの高級食パン、値段設定は1000円前後のところが多いようです。前述のように消費金額が多い都市でも、食パン消費額年12,563円であることを考えれば破格の値段設定ではあります。

だからこそ、それでも買いたいと思わせるようなネーミング、ブランド力が必要といえるでしょう。

  

  

2018年で登録された国内商標数は、なんと…115,915件


  

出願だけも含めればもっと多くなります。これだけ多くの商標の中、埋もれないようにするだけでも大変なことです。

そんな今だからこそ、どれだけ人を惹きつけるネーミングで出願するか、ネーミング自体には新鮮味はなくても意外性のある区分での出願をするのか悩ましいところです。

企業の大小、業界の大小にかかわらず、ひらめきやアイデアが必要な側面が大きくなってきているネーミングにおいては、きちんとした商標への向き合い方がより求められていると感じずにはいられませんでした。

  

  

【乃が美】(登録5760246)、【高級「生」食パン】(登録2760247)、【乃が美離れ】(登録5777103)は、
株式会社乃が美ホールディングスの登録商標です。

【森のパン屋さん】(登録4073652)は、株式会社エポック社の登録商標です。


   

  

〈ライタープロフィール〉
小川 映子(おがわ えいこ)

GMOブライツコンサルティング株式会社
IPソリューション部/商標担当
consul@brights.jp

2018年に入社。商標データから得られる様々な情報の可能性と面白さを日々学びつつ、商標データから見る競合他社調査や、お客様に対しての商標セミナー開催など、商標関連業務に携わっています。趣味はジム通い、散歩、海外ドラマ鑑賞。