アメリカと中国の無人コンビニ3社の出願商標から見えてきた「SaaS」の仕組みとは

アメリカシアトルにオープンしたレジのないコンビニエンスストア「amazon go」。カメラとセンサーで客の出入りと買い物の内容を把握し、ジに並ぶ必要はなく、店の出入り口に設けられた特別なゲートを通り中に入り、欲しいものを手に取ったら、そのまま歩いて店を出るだけという「無人コンビニ」が話題となっています。

コンビニ経営の大きなリスクの一つである「人手不足」と「人件費高騰」。これらの問題を解消すべく、日本のコンビニローソン社が「レジロボ」や「無人コンビニ」の試験的設置、ファミリーマート社が経産省と連携し「無人レジ」実験を開始するなど、各社様々な取り組みを行っています。そんな日本のコンビニもチャレンジしている「無人化・省力化」ですが、その最先端は中国に存在しており、すでに「無人コンビニ」が稼働しているのです。

 

日本の先手を行く、アメリカと中国の「無人コンビニ」3社の出願商標から見えてくることとは。

 

「無人コンビニ」の商標出願傾向とは

Bingo Box」 中国

画像出典:http://www.bingobox.com/

Bingo Boxとは

「中山市賓哥網絡科技」が開発・運営する無人店舗「Bingo Box」。2016年8月、広東省中山市に1号店を出店し、その後、わずか1年余りで広州、大連など約30都市、200店舗体制へと成長を遂げています。2017年には、今後1年で5億元(約83億円)を投じて、5,000店舗を開設する予定だと報じられました。

24時間オープンの無人コンビニの店舗には自由に出入りすることはできません。入るためには、まずスマートフォンのアプリ「微信(ウィーチャット)」を使った本人確認が必要となっており、扉の横についた2次元バーコードをアプリで読み取ると鍵が開き、店舗内に入ることができる仕組み。各商品には独自のチップが張り付けてあり、商品を購入する際は、レジの読み取り機に商品を乗せると金額と2次元バーコードが表示され、バーコードを読み取ることで決済が完了。

Bingo Boxの出願傾向から今後の展開を予測

中国国内のデータベースで”Bingo Box”を検索した結果は9件。画像出典:http://wsjs.saic.gov.cn/txnS02.do?locale=zh_CN

商標を出願する際には、その商標を使用する商品や役務(サービス)を指定するのですが、その指定された商品や役務が属する業種も合わせて指定します。 この業種のことを区分といいます。 その区分別にまとめたもがこちら。

今後のビジネス展開予測において、出願中の3つの区分が気になることろではありますが、工業用油等が対象となる4類、薬剤等が対象となる5類、織物用の糸等が対象となる23類の出願であり、コンビニとは関係が比較的薄い区分の出願であるため予測が難しい状況です。今後何かしらの展開をするのでしょうか。また、世界最大の商標データベース「GlobalBrandDatabase(以下略GBD)」で”Bingo Box”を検索した結果は0件。現時点で中国外へ進出する予定はないと考えられます。

42類に記載がある「SaaS」については次の商標でも注目していきます。

 

猩便利(シンベンリ)」 上海

画像出典:https://www.xingbianli.com/

猩便利(シンベンリ)とは

中国ではここ数年で、スマホを利用したキャッシュレス決済が当たり前になり、普及率は全国民の50%を超えるとも言われています。この動きに合わせた人々のライフスタイルや嗜好の変化に応えるため、新しいタイプの小売り業態が必要とされるようになりました。

無人コンビニはまだ市場が確立していないため、多くのスタートアップが挑戦している中、一気に知名度を上げたブランドが「猩便利(シンベンリ)」です。2017年9月以降8店舗をオープンし、注目を浴びています。

こちらの店舗では、入店後に無料のWifiに接続し、専用のアプリをダウンロード。商品を手に取りQRコードを読み取ることで、決済が完了。お店を出る際に出口でQRコードを読み取り購入品のチェックを受けることでてドアが開き店外に出れるといった盗難防止の仕組み作りもできています。その他、「猩便利」では、スマホの充電やAmazonの本の貸出しなど、様々なサービスを無料で行うことができます。

猩便利(シンベンリ)の出願傾向から今後の展開を予測

中国国内のデータベースで”猩便利”を検索した結果は62件。なんと、1~45類全ての区分において出願の確認ができました。猩便利はプライベートブランド商品の展開にも力を入れています。PB商品は各商品に独自に商標を付けて販売するため、第35類の小売等役務だけで保護されるものではなく、PBで取り扱う各商品の区分にそれぞれ商標登録が必要なのです。 今後、更なる幅広いPB商品の展開が予測できるとともに、防衛的な出願を目的とし、全区分における出願を行っていることが考えられます。 

画像出典:http://wsjs.saic.gov.cn/txnS02.do?locale=zh_CN

先ほど、”Bingo Box”の出願で「SaaS」が42類で出願されていましたが、こちらも同様に42類で「SaaS」の記載があることがわかります。

 

 

amazon go」 アメリカ

画像出典:https://www.amazon.com/,http://gigazine.net/news/20180122-amazon-go-open/

amazon goとは

1月22日にシアトルに正式オープンし、今後の店舗展開等の発表はされていません。

こちらの店舗では、amazon goアプリのバーコードを入口のゲートでスキャンすることで、カメラとセンサーが客のアマゾン・アカウントを認識し、店内に入ることができます。欲しい商品を持ち上げるだけで、アプリのカートに商品が自動的に追加され、入店の際に通ったゲートを通り外に出るという仕組み。

amazon goの出願傾向から今後の展開を予測

GBDで”amazon go”を検索した結果は9件。出願国が メキシコ、シンガポール、オーストラリア、ヨーロッパ となっていることから、これらの国が、今後の店舗展開に有力な国であることが考えられます。

画像出典:Global Brand Database(http://www.wipo.int/reference/en/branddb/)

区分別にまとめたもがこちら。3社の出願傾向から、「無人コンビニ」における主要な出願区分は、ソフトウェア等が対象の9類、広告サービス等が対象の35類、電子通信等が対象の38類、ソフトウェア等が対象の42類であることが伺えます。また、 すべての「無人コンビニ」出願において、42類に「SaaS」が記されていることが特徴的です。 

 

「無人コンビニ」を支えるSaaSとは

SaaSは、「Software as a Service」の頭文字をとった略で、「サース」と呼ばれます。今までソフトウェアだったサービスをインターネット上で共有することで、サービスを提供しユーザーが利用できるもの。Google Appsが代表的なSaaS型サービスとして挙げられます。

近年のSaaSの動向として見受けられるのが、業界を問わず特定の部門や機能に特化したHorizontal SaaS(SaaS)を中心に、サービスを提供するだけでなく、より付加価値を高めるための動きとしてAPI連携やIoT連携による「エコシステムの構築」、開発・ビジネス両面での「プラットフォーム化」、そして「人工知能の活用」が大きなトレンドとなっています。

日本国内ではSaaS専業ベンダーや、基幹システム関連でのSaaS提供はそれ以外の業態や形態と比べると少数だと言いますが、2009年以降にかけてSaaSをつ標榜するサービスが増えてきており、少しず市場が広がり始めているといいます。

今後の「無人化」への重要な仕組み

犯罪履歴やクレジットスコアーのレベルを確認して、怪しい経歴がないのかを自動で簡単に調べられる”バックグラウンドチェック”というSaaSが開発されています。「無人コンビニ」運営において”バックグラウンドチェック”及び”クレジット・スコアー”の需要の高まりが予測されるのです。

「amazon go」では入店時にアプリをダウンロードすることで個人情報が特定され、万引きや不正使用をした際には銀行口座の凍結やアカウントの凍結などの処置が可能です。「BingoBox」においても、決済に「ウィーチャット」を利用していることから、万引きや不正使用をした際にはアカウントの凍結などの処置が可能です。このようなアカウント凍結などはその後の生活やサービス利用に響いてくることに繋がります。サービス体験の中に、顧客のアカウントを獲得する仕組みを作り、犯罪行為を行った際にクレジットスコアーへ自動的に大幅なペナルティーを課すシステムが構築できるという仕組みです。

今後、コンビニに限らず様々なものに「無人化」への動きが活発化していくことが予測できます。今後SaaSの出願動向から、様々な業界の動きが予測できるかもしれません。