PB(プライベートブランド)先進国「イギリスのビッグ4」から見える商標取得傾向とは?

 

イギリスでは「自分で店を選んでいる」という感覚が得られないことに不満を感じる国民性を持っています。
仮に、家の近所にスーパーがあっても、立地の有利性があるだけでは「買わされている」感が強く、それだけのメリットでそのスーパーを利用することはないと言われています。
その分、自ら「利用する」と決めた企業に対しての支持意識は強く、売上規模などにかかわらず、自分の利用する企業が「No.1」だと思う傾向があるようです。以上の事情から、メーカーよりも小売業者の力が強くなり、NB(ナショナルブランド)よりもPB(プライベートブランド)に対するイメージが高くなります。イギリスのビッグ4の各企業でもPB比率はそれぞれ45~50%と非常に高いシェアを占めています。

イギリスのビッグ4と呼ばれている小売業各社が展開するプライベートブランド商標についてをピックアップをし、先進国でのプライベートブランド商標取得傾向のご紹介をさせていただきます。

 

1.テスコ(TESCO)

英国最大手の小売業であり、世界で3番目に高い売上を誇ります。 労働者~中流階級の幅広い支持を得ており、「英国民に最も愛されているスーパー」と言われています。

テスコを代表するプライベートブランド名「ファイネスト(Finest)」を、世界最大の商標データベースであるGlobalBrandDatabaseで検索した結果、が下記の図です。EUIPOでのヨーロッパへの出願とマドプロでの出願を行っていると共に、幅広い区分での権利化をしていることがわかります。

TESCO STORES LIMITEDが権利者の商標件数は618件あり、各国への出願件数は下記図の通りとなっています。ヨーロッパが圧倒的に多い結果ですが、その他の国へも注力をしていることが伺えます。イギリス、タイ、ポーランド、ハンガリー、マレーシア、トルコ、日本等、ヨーロッパのみならず世界各国への展開をしている世界流通大手である風格が伺えます。

また、小売り業のメイン区分35類での出願が圧倒的に多い35類の145件を筆頭に、30類や9類での出願が多い結果となっていました。

「ファイネスト(Finest)」以外のブランド名、0Healthy Living(12100467)や、Organic (928858)の出願も確認でき、プライベートブランドだけでなく、カテゴリー毎に特化したブランド展開をしていることが伺えました。

 

2.アズダ(ASDA)

1999年に米ウォルマート傘下となったASDA。 他社より10%安い価格保証を行い、庶民から根強い支持を受けています。イギリスでは2番目に売上の高いスーパーマーケットです。

アズダを代表するプライベートブランド名「エクストラ・スペシャル(Extra Special)」を、世界最大の商標データベースであるGlobalBrandDatabaseで検索した結果が下記図です。権利者は米ウォルマートであることもわかります。

動物性の食品等が対象となる29類、植物性の食品が対象となる30類、アルコールを含有しない飲料及びビールが対象となる32類を中心に、EUIPOでのヨーロッパへの出願やメキシコでの出願を筆頭に、文字商標とロゴ商標の両者の権利化をしていることがわかります。Extra SpecialのPBは食料品を中心に展開していることが、商標からも読み解けます。

 

3.セインズベリー(Sainsbury’s) 

イギリスで初めてセルフサービス方式の店舗を開店し、中流階級から支持を得ている英国第3位の小売企業。 オーガニックやフェアトレードなど倫理的商品の品ぞろえで他社との差別化を図っておりイギリス国内におけるフェアトレード製品の売上が最も高い企業。

セインズベリーを代表するプライベートブランド名「テイスト・ザ・ディファレンス(Taste the Difference)」を、世界最大の商標データベースであるTMviewで検索した結果が下記図です。

イギリス(GB)での取得を筆頭にデンマークやイタリアといったヨーロッパ各国への出願が確認できました。1.2.の企業がEUIPOを利用したヨーロッパへの幅広い権利化を行っているのに対して、主要国に絞った権利化を行っていることが読み解けました。

 

4.モリソンズ(MORRISONS) 

2004年に自社より規模の大きなセイフウェイを買収することで店舗数を大幅に伸ばしビッグ4の仲間入りを果たしました。 従来のモリソンズは3,000㎡以上の売場面積の広さが特徴的でしたが、小型店を多く展開していたセイフウェイ買収後は様々な規模で店舗展開をしており、精肉や鮮魚の新鮮さに定評があります。

モリソンズを代表するプライベートブランド名「ザ・ベスト(The Best)」を、世界最大の商標データベースであるTMviewで検索した結果が下記図です。

イギリス(GB)での出願が確認できました。3.の企業同様主要国に絞った権利化を行っていることが読み解けました。

 

日本の著名PB商標取得状況

 

イギリスのビッグ4の出願傾向から、上位にランクインする大企業である程、EUIPOでのヨーロッパ各国への幅広い権利化をしていることが伺えます。また、先進的と評されるイギリスのPBブランドの商標権利状況は各社が力を入れていることが感じられました。

下記図は日本で著名なPB商標の取得状況です。幅広い区分の出願による権利化をしています。特にイオン株式会社が展開する「トップバリュ」は2013年以降Jcup、GrandCurry、うまみ和豚、のPBブランド名の権利化を増やしており、PB商品に注力をしていることが伺えます。先進的と称されるヨーロッパビッグ4同様の展開に近づいていると言えるのではないでしょうか。

 

PBの高付加価値化によってPBは単なる小売業のブランドという枠を超えて、企業のアイデンティティを示すブランド、あるいは企業のポジショニングを表すブランドとして、すなわちコーポレート・ブランドとして消費者に認知されるようになるのではないでしょうか。

 

 

 



newnewnew