世界に広がる「SAKE」 登録商標から「使用を想定した登録の必要性」を考える

 

今、世界中で日本酒が「SAKE」と表され、日本酒が盛り上がりを見せています。この日本酒ブームの裏には海外における日本食レストランの増加や日本食への注目があると考えられますが、どのような国から注目をされているのか、様々な観点からご紹介させていただきます。

 

輸出金額から見る「SAKE」

国税庁の発表によると、平成27年の品目別輸出金額は多くの品目で前年を上回っており、中でも日本酒(清酒)の占める割合が14,011百万円と全体の35.9%のシェアを誇っています。また、地域別輸出金額からは、日本酒の主な輸出先国がわかり、アメリカ合衆国を筆頭に、香港、大韓民国、中華人民共和国、台湾、シンガポール等のアジア各国が続き、オーストラリア、英国、ベトナムが続いています。

 

 

 

 

 

 

(出典:https://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2015/sake_yushutsu/pdf/sake_yushutsu.pdf)

検索ワードから見る

Google Trendsで「SAKE」を検索した国で最も多かった国はシンガポール。

輸出金額で上位にランクインした、シンガポール、オーストラリア、アメリカ合衆国、香港、カナダ、ベトナムが同様にランクインし、ニュージーランド、オランダ、チリ、オーストリアが輸出金額ではランクインしなかった国がランクインする結果となりました。

輸出金額で上位にランクインした、香港、台湾、中国は現地語を利用する傾向のある国。「SAKE」ではなく「清酒」での検索結果で上位にランクインしており、1位が香港、2位が台湾、3位マカオ、4位日本、5位中国という結果となっており、本国である日本よりも他のアジア各国で日本酒が注目がされていることが裏付けられる結果でした。

 

商標データベースから見る

世界最大の商標データベース「GlobalBrandDatabase(以下略GBD)」で”SAKE”を検索した結果、454件の出願数の内、173件で日本(JP)が1番多く、136件でアメリカ合衆国(US)が2位、25件でオーストラリア(AU)が3位、24件で韓国(KR)が4位、17件でベトナム(VN)とヨーロッパ(EM)が5位でした。

輸出金額と検索ワードで上位を占めていた国と同様の国が並ぶ結果という印象ですが、スペイン(ES)、インドネシア(ID)、タイ(TH)、が前述ランキングにはない、新たにランクインした国であり、アジアやヨーロッパで注目がされていることが推測できます。

 

〈Pick up〉権利者1位「Urban Purveyor Group Pty Ltd」

権利者1位の「Urban Purveyor Group Pty Ltd」の出願商標は7件。全てオーストラリアへの出願でした。

Urban Purveyor Group Pty Ltdは、オーストラリア国内にレストラン、バー、ファンクション施設を運営。同社は1976年に設立され、オーストラリアのシドニーに拠点を置いています。各店舗ではビール、シャンパン、ヨーロッパのワイン、日本酒など様々なアルコールが楽しめ、SakéRestaurant&Barではシドニー、メルボルン、ブリスベンの5つのオーストラリアで最も象徴的な都市の中で受賞歴のある現代日本料理と日本酒を提供しています。

「Urban Purveyor Group Pty Ltd」の出願商標は89件。その内、85件がオーストラリア商標であり、オーストラリアに注力してビジネス展開を行っていることが伺えます。また、”SAKE”を含むオーストラリアへの出願商標は25件あり、その内7件が「Urban Purveyor Group Pty Ltd」の商標で、一番多く出願している権利者。このことからも、同社がオーストラリアで日本酒ビジネスを牽引していることが伺えます。

 

オーストラリアは輸出金額ランキングで8位、検索ワードランキングでは2位と、共に上位にランクインし「SAKE」の注目度の高さとビジネス成長における期待度が高い国であることが予測されます。

そんな中で、「Urban Purveyor Group Pty Ltd」は、「SAKE(2025-09-09)」商標をが41類、43類で保有していることは大きな意味合いを持つのではないでしょうか。43類は飲食物提供に関わる区分であり、この区分で「SAKE」商標を独占できていることは、今後のビジネス展開において非常に大きな独占力であり、優位にビジネス展開ができることが予測できるのではないでしょうか。

 

”SAKE”商標から見る「社会通念上同一の商標」について
”SAKE”商標の登録

「Urban Purveyor Group Pty Ltd」は、「SAKE」商標と「SAKE JR」商標において、文字と図形の組み合わせからなる結合商標と、文字のみからなる文字商標の両者それぞれでの権利化を行っています。

文字と図形の組み合わせからなる結合(ロゴ/図形)商標と文字商標どちらで登録をするべきかという記事を以前ご紹介しましたが(記事はこちらから)、どちらを登録するべきなのでしょうか。

また、登録商標のロゴデザイン変更等で変更された商標の使用について、どの程度の変更が認められるのでしょうか。「社会通念上同一の商標」についての観点からご紹介したいと思います。

 

「社会通念上同一」とは

新しい広告宣伝を行ったり、登録商標の仕様を変更し、販売を促進することは現代のビジネスではよくあることではないでしょうか。登録商標から変更して商標を使用をしており、不使用取消審判を受けた場合でも、商標法では、全く同じでなくても、「社会通念上同一」と認められる商標であれば、不使用には該当せずに、商標登録の取消しを免れることができるとされています。

不使用取消審判とは、継続して3年以上、日本国内において、商標権者または専用使用権者等が、各指定商品又は役務に置いて登録商標を使用していない場合に、誰でも、商標登録の取消しを請求することができるものです。

「社会通念上同一」と認められる商標とは、書体のみの変更による同一の商標や、外観において同視される図形からなる商標、等の場合が挙げられます。

 

審決事例

登録商標が、結合商標からなる場合に、文字のみ、図形のみを使用した場合、原則として同一性が否定されることが多数審決結果から裏付けられています。これは、缶詰・ジャム類の製造で著名はアヲハタブランドの商標取消の審決において、登録商標の構成要素の図形の部分だけを使用していた事例です。

登録商標と使用商標とは、「青色の三角旗の図形」の部分において類似する商標ということはできても、使用商標は、「アヲハタ」の片仮名文字の構成を欠くものであることから、両商標は外観において互いに同視される商標とはいえず、また、称呼及び観念においても同一とはいえないため、「本件商標と使用商標とは社会通念上同一と認められる商標ということはできない。」という判断がなされました。引用:http://shohyo.shinketsu.jp/decision/tm/view/ViewDecision.do?number=1088631

 

 

使用を想定した登録の必要性

結合商標を登録した場合、その一方のみを使用しただけでは登録商標の使用とは認められる可能性が低いため、結合商標での使用を徹底する必要があります。将来的に文字と図形を分けた形での使用が発生する場合は、文字と図形を分けた形で登録を行うことが理想的であると言えるのではないでしょうか。

 

「Urban Purveyor Group Pty Ltd」は将来の使用を見据え、結合商用と文字商標をそれぞれ権利化を行っており、適切な権利化を進めながら事業展開をしている企業であるのかもしれません。

 



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